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総合学習の事例

ベニバナたんけんたい

渡部 ( わたなべ ) 俊三 ( しゅんぞう ) 小野 ( おの ) 惠二 ( けいじ ) へん

  

  1. ( べに ) へのあこがれ、 ( べに ) ロード
  2. ( ひがし ) 最上 ( もがみ ) 紅花 ( べにばな ) 西 ( にし ) 阿波 ( あわ ) 藍玉 ( あいだま )
  3. これがベニバナだ!
  4. ベニバナの 黄色 ( きいろ ) 色素 ( しきそ ) 紅色 ( べにいろ ) の色素
  5. 「もがみべにばな」に「とげなしべにばな」( 品種 ( ひんしゅ ) 紹介 ( しょうかい )
  6. ( はる ) のたねまき 時期 ( じき ) をのがさないように
  7. 土を寄せて、倒れないように
  8. 収穫 ( しゅうかく ) は、とげに気をつけて!
  9. プランターで育てましょう

1. ( べに ) へのあこがれ、 ( べに ) ロード

ベニバナ(紅花)ってナニ?

( なつ ) のはじめに 黄色 ( きいろ ) い花を咲かせる、キクの 仲間 ( なかま ) 植物 ( しょくぶつ ) です。

ベニバナを利用したもので 身近 ( みぢか ) かなものにベニバナ ( あぶら ) があります。 健康 ( けんこう ) にいいリノール ( さん ) をたくさんふくんでいますから、サラダ油などによくつかわれています。

このベニバナ、油をとるだけではなくて、花びらにふくまれる黄色や ( べに ) 色素 ( しきそ ) ( ぬの ) ( ) めることができるのです。

( むかし ) から 染料 ( せんりょう ) としてとてもだいじにされてきました。

ベニバナの 原産地 ( げんさんち )

ベニバナはもともと、 中央 ( ちゅうおう ) アジアかエジプトのナイル ( がわ ) 流域 ( りゅういき ) あたりにあったといわれています。

( ひと ) びとは、ベニバナから油をとるだけでなく、とくに花びらから 色素 ( しきそ ) をとる作物としても ( そだ ) てはじめました。

布をベニバナの色素で ( ) めることで、 ( むし ) から ( まも ) ったり、 ( くさ ) りにくくなることに ( ) がついたのです。

また、ベニバナの色素には、 血行 ( けっこう ) をよくする ( はたら ) きもありますから、ベニバナの花びらで染めた布を ( ) につけることで、からだがあたたかくなることに気がついたのかもしれません。

  

紀元前 ( きげんぜん ) のエジプトでは、ミイラをつつむ 亜麻 ( あま ) の布をサフランという植物のめしべや、ベニバナの花びらからとりだした色素で染めていました。

色で染めることにより、 ( むし ) ( ) りつかなくなったり、 ( くさ ) りにくくなることを知っていたのです。

黄色と紅色

ベニバナの花びらからは、黄色と紅色の ( ふた ) つの色素をとることができます。

人びとは、 ( ふる ) くから、かんたんにとりだせる黄色の色素をつかって、パンなどに色をつけたり、布を染めたりしてきました。

( あか ) い色素は、花びらにふくまれる ( りょう ) ( すく ) なく、とりだすのもむずかしいけれど、 自然界 ( しぜんかい ) には、きれいな ( あか ) に染まる染料がすくないことから、とてもだいじにされてきました。

人びとは、 ( ) 連想 ( れんそう ) させる紅い色に ( つよ ) 生命力 ( せいめいりょく ) 神聖 ( しんせい ) ( ちから ) を見て、紅い色の布をまとったり、からだに紅い色をぬったりしていたのかもしれません。

 

いまでも、人びとは、紅い布を身にまとったり、紅い色を ( かお ) にさしたりしています。

( べに ) は、 人間 ( にんげん ) にとって、まさしく生命力の色なのです。

 

紀元前3 世紀 ( せいき ) から紀元5世紀にかけて 中国北方 ( ちゅうごくほっぽう ) には 匈奴 ( きょうど ) という 遊牧民 ( ゆうぼくみん ) 勢力 ( せいりょく ) をもっていました。

 

匈奴 ( きょうど ) は、 ( ほお ) 臙脂 ( えんじ ) ( べに ) )をぬるお 化粧 ( けしょう ) をしていました。

この臙脂は、中国の 臙支山 ( えんしさん ) ( ) えていたたくさんのベニバナからとった紅( ( あか ) い色素)からつくったといわれています。

この紅がやがて、中国の 女性 ( じょせい ) のお化粧に ( ) かせない紅としてつかわれました。

ベニバナの紅は、お化粧の紅のルーツだったのです。

日本にきたベニバナ

古代 ( こだい ) エジプトから 中央 ( ちゅうおう ) アジアにかけて、ベニバナは、布などを染める染料として、またお化粧の紅として、さかんに 栽培 ( さいばい ) されていました。

それらがやがて、中国に ( わた ) り、ついに 日本 ( にほん ) にまでやってくるのです。

 

日本では、ベニバナから紅をとる 独自 ( どくじ ) 方法 ( ほうほう ) をみつけだして、 着物 ( きもの ) を染める染料としての紅も、お化粧の紅も、 江戸 ( えど ) 時代 ( じだい ) にはさかんにつくられるようになっていました。

ところが、かつてさかんにベニバナを栽培して、油をとったり紅をつかっていたと ( かんが ) えられるエジプトや中央アジアの 国々 ( くにぐに ) には、ベニバナの 文化 ( ぶんか ) はのこらなかったのです。

いまでは、あまり栽培されていません。

 

インドでも、むかしは、インド ( じん ) 女性の ( ひたい ) ( かざ ) るビンディというお化粧( ( ) よけのしるし)などにベニバナの紅がつかわれていましたが、いまでは、油をとる作物としてしか栽培されていません。

いま 世界 ( せかい ) では、ベニバナはおもに油をとる作物としての栽培がほとんどです。

2. ( ひがし ) 最上 ( もがみ ) 紅花 ( べにばな ) 西 ( にし ) 阿波 ( あわ ) 藍玉 ( あいだま )

ベニバナのことを、むかしは、 ( くれない ) 久礼奈為 ( くれない ) 呉藍 ( くれのあい ) 末摘花 ( すえつむはな ) などとよんでいました。

呉藍 ( くれのあい ) というのは、中国の ( くれ ) の国から ( つた ) わった染料という 意味 ( いみ ) でつけられたようです。

( くれ ) は、 高麗 ( こうらい ) がなまったという ( せつ ) もあります。

また、 韓呉藍 ( からくれない ) ともよばれます。

( から ) ( から ) )というのは、 韓国 ( かんこく ) (または 外国産 ( がいこくさん ) )を意味する 言葉 ( ことば ) です。

どちらにしても、 原産地 ( げんさんち ) からシルクロードを ( とお ) って中国へ、中国から 朝鮮 ( ちょうせん ) 半島 ( はんとう ) をへて、日本へやってきたことをうかがわせます。

 

末摘花というのは、花のてっぺんの花びらから ( じゅん ) につむからそういわれたようです。

江戸時代には、ベニバナは 最上地方 ( もがみちほう ) (いまの 山形県 ( やまがたけん ) ( むら ) 山地方 ( やまちほう ) )の 特産品 ( とくさんひん ) になったのです。

布を染める

ベニバナは、5〜6世紀ごろ、 仏教 ( ぶっきょう ) 文化 ( ぶんか ) とともに中国から朝鮮半島をへて、日本にやってきたと考えられています。

6世紀につくられた 藤ノ木 ( ふじのき ) 古墳 ( こふん ) 石棺内 ( せきかんない ) から、ベニバナの 花粉 ( かふん ) がみつかっているから、このころには、ベニバナが栽培されていたのです。

 

ベニバナで布を染める方法も、いっしょに伝わったと考えられます。

日本では、 ( べに ) 赤色 ( あかいろ ) )をアカネという 植物 ( しょくぶつ ) ( ) からとった色で染めていましたけれど、ベニバナの紅も 貴重 ( きちょう ) な赤色として、だいじにされたのです。

   

とくに貴人( 地位 ( ちい ) 身分 ( みぶん ) ( たか ) い人)たちの 衣服 ( いふく ) を染める色として、また、 官女 ( かんじょ ) 宮廷 ( きゅうてい ) ( つか ) える女性)のお 化粧用 ( けしょうよう ) の紅としてベニバナの紅は、だいじにされました。

一大 ( いちだい ) 産地 ( さんち ) となった 最上川 ( もがみがわ ) 流域 ( りゅういき )

( なが ) いあいだベニバナの紅は、 貴族 ( きぞく ) たちや 武士 ( ぶし ) の世界だけの色だったのですが、やがて江戸時代になると 庶民 ( しょみん ) 文化 ( ぶんか ) 花開 ( はなひら ) き、ベニバナの栽培も 各地 ( かくち ) ( ひろ ) がっていきました。

なかでも、 出羽 ( でわ ) ( くに ) (いまの 山形県 ( やまがたけん ) )の最上川流域の 平野 ( へいや ) は、 ( つち ) ( ) えて、 ( みず ) はけもよいことから、 ( しつ ) のいいベニバナがとれる 一大 ( いちだい ) 産地 ( さんち ) になりました。

日本の 特産物 ( とくさんぶつ ) 番付 ( ばんづけ ) ( ) めた「 諸国 ( しょこく ) 産物 ( さんぶつ ) 見立 ( みたて ) 相撲 ( すもう ) 番付 ( ばんづけ ) 」では、東の 関脇 ( せきわけ ) が最上紅花で、西の関脇が阿波の藍玉でした。

藍玉は、藍をつきかためた 紺色 ( こんいろ ) に染めるための 原料 ( げんりょう ) です。

これらは、江戸時代の 二大 ( にだい ) 染料 ( せんりょう ) だったのです。

とはいってもベニバナはたいへん 高価 ( こうか ) 貴重品 ( きちょうひん ) なので、貴人や 金持 ( かねも ) ちしかつかえなかったのです。

庶民の色は、もっぱら 藍色 ( あいいろ ) だったのです。

紅花と 京都 ( きょうと ) の文化

最上 ( もがみ ) の地(現在の村山地方)でつくられたベニバナは、「 ( べに ) もち」というついて 乾燥 ( かんそう ) させた原料に 加工 ( かこう ) されて、最上川を ( くだ ) り、 酒田 ( さかた ) から 北前船 ( きたまえぶね ) 越前敦賀 ( えちぜんつるが ) 福井県 ( ふくいけん ) )に 陸揚 ( りくあ ) げして、 琵琶湖 ( びわこ ) をわたって京都、 大阪 ( おおさか ) へと ( おく ) られました。

 

ここで、染めや紅に 使 ( つか ) われたのです。

貴重で高価なベニバナは高く ( ) れましたから、 商人 ( しょうにん ) たちは、とても 裕福 ( ゆうふく ) になりました。

それで、京都や大阪のひな 人形 ( にんぎょう ) や着物、それにさまざまな文化が最上の地にはいって ( さか ) えました。

3. これがベニバナだ!

ベニバナはキク ( ) で、アザミの 仲間 ( なかま ) です。

 

くらべてみると、よくにているでしょう?

アザミと ( おな ) じようにトゲがあって、 ( ) 特徴的 ( とくちょうてき ) なきざみがはいっています。

 

また、 ( ) 直根 ( ちょっこん ) といって、まん ( なか ) ( ふと ) い根が1 ( ぽん ) まっすぐに ( つち ) の中に ( はい ) っています。

花の ( ) ( かた ) がおもしろいので、 開花期 ( かいかき ) 観察 ( かんさつ ) してみるとよいでしょう。

 

ベニバナの花は、 頭状花 ( とうじょうか ) といって、キクやアザミとおなじようにたくさんの ( ちい ) さな花が ( あつ ) まって ( ) いています。

 

総包 ( そうほう )

花を ( つつ ) んでいる 部分 ( ぶぶん ) のことをいいます。

葉が 変形 ( へんけい ) したものです。

成長 ( せいちょう ) するにつれて、するどいトゲが 目立 ( めだ ) ってきます。

最近 ( さいきん ) では、トゲのない 種類 ( しゅるい ) もあります。

 

葉のつきかた

ベニバナの葉は、 ( くき ) ( たい ) して144 ( ) 角度 ( かくど ) 回転 ( かいてん ) しながらついています。

ですから、6 枚目 ( まいめ ) の葉が ( おな ) 方向 ( ほうこう ) についているのです。

葉には、アザミにて、トゲがあります。

4. ベニバナの黄色い色素、紅色の色素

ベニバナの花は、 ( ) きはじめたころには、花びらは黄色だけれど、しだいに ( した ) のほうから紅く色がかわってきます。

この 最初 ( さいしょ ) にみえていた黄色と、あとからみえてくる紅い色とは、じつは、ちがうべつべつの色素です。

黄色いほうは水に ( ) けるので、とりだすのは 簡単 ( かんたん ) でも、紅色の色素は ( りょう ) がすくないうえに、水にも溶けないから、とりだすためには、とても 手間 ( てま ) がかかります。

そのため、むかしから紅は貴重なものとされてきたのです。

黄色はサフロールイエロー

 

水に溶ける黄色い色素が、サフロールイエローです。

ベニバナにふくまれる色素のほとんどは、この黄色い色素です。

このサフロールイエローには、 防虫 ( ぼうちゅう ) 防腐 ( ぼうふ ) 効果 ( こうか ) があって、古くから、 ( きぬ ) ( かみ ) がこれで染められていました。

また、この黄色い色素は水にすぐ溶けだすので、 ( ) べものに黄色い色をつけるために、 便利 ( べんり ) につかわれてきました。

紅色はカルサミン

 

水に溶けない紅色の色素がカルサミンです。

この色素をとりだすためには、まず黄色い色素のサフロールイエローを水に完全に溶かして除いてから、紅い色素のカルサミンを ( よわ ) いアルカリ水に溶け ( ) させ、 麻布 ( あざぬの ) などに 吸着 ( きゅうちゃく ) させます。

 

それから、その麻布をとりだして、もういちど ( よわ ) いアルカリの中で ( あら ) って紅の色素をおとし、そこへ 梅酢 ( うめず ) など 果物 ( くだもの ) ( さん ) を入れて 中和 ( ちゅうわ ) させると、紅の色素が 沈殿 ( ちんでん ) します。

上澄 ( うわず ) みをすてて乾燥させると 純粋 ( じゅんすい ) な紅がとれます。

乱花 ( らんか ) ( べに ) もち

 

収穫 ( しゅうかく ) した花びらを乾燥させただけのものが「乱花」です。

収穫した花びらを 水洗 ( みずあら ) いして 発酵 ( はっこう ) させて、ウスなどでついて、紅色の色素を 発色 ( はっしょく ) させてから、 ( まる ) もち ( じょう ) にして乾燥させたものが「紅もち」です。

 

乱花は、もっぱら ( ) べものに色をつけたり、 紅花茶 ( べにばなちゃ ) にいれるためにつかわれます。

漢方薬 ( かんぽうやく ) にもなるベニバナ

ベニバナの花びらは、漢方薬としてもつかわれてきました。

紅花 ( こうか ) 」という ( くすり ) で、 血行 ( けっこう ) をよくしたり、 ( あせ ) をだして ( ねつ ) をさげたりする 効果 ( こうか ) があるとされています。

また、紅をくちびるにぬると、血行をよくして、 ( はだ ) ( ) れをふせぎます。

5.「もがみべにばな」に「とげなしべにばな」( 品種 ( ひんしゅ ) 紹介 ( しょうかい )

古くから色素をとるために栽培されてきた品種が「もがみべにばな」です。

 

それに対して、 ( ) ( ばな ) やドライフラワーなど、花を 観賞 ( かんしょう ) するために 育成 ( いくせい ) された品種が、「とげなしべにばな」です。

とげがないので、花を楽しむためには、あつかいやすいのです。

 

そのほか、白い花をさかせる「しろばなべにばな」という、おもしろい品種もあります。

また、油をとるための品種のタネは、色素をとるための品種よりも大きくて、たくさんの油をふくんでいます。

おなじベニバナでも、 用途 ( ようと ) によっていろいろあるのです。

むかしから出羽の国でつくられてきた 在来種 ( ざいらいしゅ ) 一時期 ( いちじき ) ベニバナがつくられなくなってとだえたけれど、 戦後 ( せんご ) 農家 ( のうか ) 保存 ( ほぞん ) されていたタネが 再発見 ( さいはっけん ) された。ギザギザととがった ( ) ( えだ ) ( ) かれも ( おお ) く、花もたくさんつける。花ははじめ黄色で、やがて下から紅色になる。

在来種 ( ざいらいしゅ ) から切り花用につくられた葉が ( まる ) くてとげのない品種。枝分かれが少なく、 ( くき ) が太く、葉の色が ( ) い。花の色は同じ。

在来種の 突然 ( とつぜん ) 変異 ( へんい ) で花の ( いろ ) がクリーム色をしている。切り花用に栽培されている。

紅もちと 乱花 ( らんか )

( うす ) などでついて 花弁 ( かべん ) ( きず ) をつけ、 発酵 ( はっこう ) させて 発色 ( はっしょく ) させた紅い色素をとるための 原料 ( げんりょう )

つみとった花弁を乾燥させただけの ( ほし ) 紅花 ( べにばな ) 。おもに 食品 ( しょくひん ) 加工 ( かこう ) などにつかう。

6. ( はる ) のたねまき 時期 ( じき ) をのがさないように

ベニバナを 露地 ( ろじ ) (ふつうの ( はたけ ) )で ( そだ ) てるためには、春のまきどきをのがさなようにしないと、とてもよわよわしい ( かぶ ) になってしまいます。

山形市 ( やまがたし ) では、4 ( がつ ) 中旬 ( ちゅうじゅん ) のタネまき、7月5日ごろから7月15日ごろに 開花 ( かいか ) (タネまき ( ) 、およそ80日で開花が ( はじ ) まる)。

京都市では、3 ( がつ ) 中旬 ( ちゅうじゅん ) のタネまき、6月25日ごろから7月5日ごろに 開花 ( かいか )

タネまきは早めに、サクラが咲くまでに

ベニバナのたねまきは、春です。3〜4月ごろにまくとよいです。タネまきは、できるだけ早めにまいたほうが、失敗することが少ないですよ。

おそくともサクラが咲くころまでにはタネまきをおえましょう。

ベニバナは、タネまきの時期がとてもだいじです。

時期のちがいで、その後の生長がぜんぜんちがってきますから、いろいろとタネまきの時期をかえて、まいてみるのもおもしろいかもしれません。

どんなちがいがでてくるでしょう。

畑のつくり方

畑は、日あたりがよくて、水はけのいい場所をえらびましょう。

もともとベニバナのふるさとは乾燥した気候のところだったと考えられています。

雨や湿気は大きらいです。

タネまきの1週間くらいまえに、1平方メートルあたり石灰を100グラムほど、チッソ:リン酸:カリをそれぞれ成分で15グラムづつふくんだ化成肥料、それに堆肥5キログラムほどをまぜこんで、20センチくらいの深さを耕しておきましょう。

タネの殺菌

ベニバナは病気に弱いのです。

とくに炭そ病は、タネについていて、 発芽 ( はつが ) のときにもう病気にかかってしまっていることもあります。

そこで、タネをまくまえに洗剤で洗ったあと水洗いしたり、ホワイトリカー( 焼酎 ( しょうちゅう ) )にさっとくぐらせてから水洗いしてまくといいです。

こうすると炭そ病の 病原菌 ( びょうげんきん ) をへらすことができます。

タネまき

畑は平らなままでかまいません。

全体をならしたら、うね幅60〜70センチくらいをとって、10センチくらいのまき幅のところにパラパラとタネを ( すじ ) まきにしていきましょう。

タネとタネが重ならないようにまきましょう。

1平方メートルあたり75粒くらいです。

タネをまいたら、上に2センチくらいの土をかけておきましょう。

深くなりすぎないようにしてください。

土が乾いているときは、水をやって、 新聞紙 ( しんぶんし ) でおおっておきましょう。

こうすると土の乾燥をふせいでくれますよ。

発芽

4〜5日で発芽します。

土がもこもこともりあがりはじめたら新聞紙をどけましょう。

それからそっと水をかけて、発芽のときにできた 地割 ( じわ ) れをおさえてやると、そのあとの根ののびがいいです。

直根で太い根がのびるのですが、これがその後の生育にとてもだいじです。

根がしっかり土の中にすうっと入っていけば、大きく生長しますよ。

1回目の 間引 ( まび )

子葉 ( しよう ) がしっかり開いて、 本葉 ( ほんば ) が2枚開いたら、1回目の間引きをしましょう。

子葉がちぢれたり、色が変わったりしていない 正常 ( せいじょう ) なもの、葉が大きく元気に生育しているものをのこしましょう。

最終的に2回目の間引きで、株と株の 間隔 ( かんかく ) が10〜12センチくらいになるようにしますから、近づきすぎているものも間引きましょう。

間引きは根元の土をおさえてひきぬくのですよ

7.土を寄せて、倒れないように

はじめの1〜2枚目の本葉が大きくなるとりっぱな花が咲きます。本葉が小さいとそれなりの花にしかならないかもしれません。

なにしろ、はじめがかんじんなんです。

水をやりすぎないように、草とりもわすれず、ていねいに育てれば、かならず、いい花を咲かせてくれますよ。

花の季節は6〜7月です。

1メートルくらいの草丈で、15〜20個の花が咲きますよ。

水やり

水やりは、ほとんど必要ありません。

でも雨がずっとふらないで土が乾くようなら水をやりましょう。

ただし、ふつうの花のように、株の上からかけるのはやめましょう。

株元ではなく、株元から少しはなしてやったほうがよろしい。

水で土が、葉や茎にはねあがると、病気にかかりやすくなるのです。

水をやりすぎると、直根ののびがとまって、 生育 ( せいいく ) 不良 ( ふりょう ) になりますよ。

2回目の間引き

本葉が5枚くらい開いたころに2回目の間引きをしましょう。

ようすをみながら近づきすぎているものを間引いて、本葉が大きく、茎が太いもの、生長のそろっているものをのこしましょう。

最終的 ( さいしゅうてき ) に株と株のあいだが10〜12センチくらいずつになるようにしていきます。

追肥 ( ついひ ) はようすをみて

ふつうは、追肥は必要ありません。

元肥だけで開花までじゅうぶんもちます。

でも2回目の間引きのときにようすをみて、もし、葉が小さかったり茎が細かったり、葉の色が ( あわ ) いようなときは、追肥しましょう。

チッソ:リン酸:カリをそれぞれおなじ量をふくんだ化成肥料を1平方メートルあたり成分量で5グラムずつ、株元から少しはなれたところにパラパラとまいておきましょう。

その上にうね間の土を少しかけて、それからそこに水をかけておきましょう。

ふつうのみずやりは、このときくらいでいいですよ。

あとはいりません。

土よせ

20〜30センチくらいの高さに生長したら、土よせをして、株がたおれないようにしてやりましょう。

うね間の土を両側から少し株元にもりあげるようにしてやればいいですよ。

さらに大きくなってきたら、株の 両側 ( りょうがわ ) にひもを張ってたおれないようにしてやりましょう。

雑草とり

雑草は、みつけしだいひきぬきましょう。

こまめにとるのがだいじです。

わすれていると、ベニバナの生長が悪くなりますよ。

雨よけ

ベニバナは雨がきらいです。

生長してつぼみがでて、花が咲くまで、できるだけ雨にあたらないようにしましょう。

とくに葉や茎がやわらかい時期、つぼみを手でさわっても痛くなくて、葉のふちが生長してトゲ状になるまえの時期は、雨にあてないよう気をつかいましょう。

雨の多い年はビニールなどで雨よけをするといいですね。

8. 収穫 ( しゅうかく ) は、とげに気をつけて!

ベニバナの 収穫 ( しゅうかく ) は、 朝露 ( あさつゆ ) ののこる 早朝 ( そうちょう ) がいいとされています。

それというのも、ベニバナにはトゲがありますから、乾燥した時間に収穫するとトゲでひどく ( いた ) い思いをします。

早朝の朝露ののこる時間なら、トゲも少しはやわらかいので ( ) さりにくいのです。

むかしからベニバナを収穫するおとめたちは、このトゲに ( なや ) まされてきたのです。

ベニバナの ( あか ) は、花を収穫する ( むすめ ) たちの手から ( なが ) れる血の色とまでいわれていたのです。

収穫 ( しゅうかく ) のめやす

花は、少しずつとびだすようにして咲いてきます。

はじめは黄色で、下のほうから紅くなってくるのです。

乱花のときは、 満開 ( まんかい ) に近いころ(花びらの上の部分がまだ黄色で、花びらの下が紅くならないうち)につみましょう。

紅もちをつくるときは、花びらの下の部分が紅く変わったころで花をつみましょう。

だいたい開花しはじめてから5〜6日後です。

花びらがべたっとならないうちにつむのですよ。

花びらがたれてくると、つみとるのがむずかしくなって、色も ( くろ ) ずんできて品質が悪くなるから気をつけましょう。

収穫 ( しゅうかく ) 方法 ( ほうほう )

紅もちをつくるときは、ぬれた花でもいいですよ。

乱花にするときは、収穫後すぐに 直射 ( ちょくしゃ ) 日光 ( にっこう ) で乾燥させるので、収穫は天気のいい日におこないましょう。

トゲに ( ) されないようにスキー用の 手袋 ( てぶくろ ) 厚手 ( あつで ) 作業用 ( さぎょうよう ) 手袋などをして収穫しましょう。

収穫してもよさそうなものから順にえらんで、花びらをつまみとればいいのです。

じょうずに育てると、収穫時期は10日間くらいあります。

ドライフラワーにするのなら、花がたくさん開いたところで、 ( かぶ ) もとから切りとって ( さか ) さにして、 日光 ( にっこう ) があたらない ( かぜ ) ( とお ) しのよいところに ( ) しておきましょう。

収穫後の 処理 ( しょり )

収穫した花びらは、 用途 ( ようと ) に応じてすぐに処理しましょう。

つんだ花びらをそのままほうっておくと、すぐにくさって黒くなってしまいますよ。

紅もち

収穫したらすぐに水洗いして処理をはじめましょう。

乱花

( せい ) ( てん ) の日につみとります。

花びらがぬれないように気をつけてください。

花びら 以外 ( いがい ) のゴミや 子房 ( しぼう ) などをていねいにとりのぞいてから、目の ( こま ) かいアミや ( おお ) ザルなどの上に広げて、直射日光と風でかわかしましょう。

できるだけ何回もかきまぜて、 上下 ( じょうげ ) 左右 ( さゆう ) を入れかえ、一日で 仕上 ( しあ ) げるようにしましょう。

9.プランターで育てましょう

たくさんの花を収穫することはできないので、染料用にはむりですが、ドライフラワーや紅花茶を楽しむなら、プランターで育てることもできます。

むしろ雨にあてずに育てることができますから、畑でつくるよりも、つくりやすいかもしれません。

いくつものプランターにベニバナを育てて、玄関などに置いておくと、 花壇 ( かだん ) としてもすてきですね。

  1. 70センチくらいのプランターに 赤玉土 ( あかだまつち ) 小粒 ( しょうりゅう ) )と 腐葉土 ( ふようど ) を半分ずつ混ぜて入れましょう。
    そこへ 元肥 ( もとごえ ) としてチッソ:リン酸:カリ 同量 ( どうりょう ) 化成肥料 ( かせいひりょう ) 成分量 ( せいぶんりょう ) で10グラム、 石灰 ( せっかい ) 15グラムをまぜこみましょう。
  2. まんなかにすじを ( ) いて、そこにタネをばらまきましょう。
    タネは、 殺菌 ( さっきん ) 処理してください。
    日がよくあたる、雨のかからない場所においておきましょう。
  3. 水は、 表土 ( ひょうど ) が白く乾いたら、下からにじむていどにやるくらいにしましょう。
    間引きは畑のときとおなじです。
    土よせはやらなくてもいいですよ。
    追肥 ( ついひ ) も、畑のときとおなじようにして育てましょう。
  4. お天気のときは、日あたりにだして、雨のときは、雨のかからないところに 移動 ( いどう ) するといいですね。
    間引 ( まび ) きした ( ) っぱは、おみそ汁などの ( ) として食べるといいですよ。

害虫 ( がいちゅう ) や病気

5月中旬ごろ、葉に 地図 ( ちず ) を書いたような食べ跡がでたらこれです。

下のほうの葉からでますから、みつけしだい、食べ跡の 先端 ( せんたん ) にいる 幼虫 ( ようちゅう ) をつぶしましょう。

5月中旬ごろから、茎、葉、つぼみにでます。

銀色 ( ぎんいろ ) のシートを 株元 ( かぶもと ) にしくと、 ( ) んでくる ( かず ) がへります。

種子でも伝染するもっとも恐ろしい病気で、 被害 ( ひがい ) も大きいです。

生育 ( せいいく ) 初期 ( しょき ) から葉や茎に発生します。

はじめは 表面 ( ひょうめん ) 青白色 ( せいはくしょく ) ( はり ) ( あたま ) くらいの大きさのやや 湿 ( しめ ) った多数の 斑点 ( はんてん ) ( あらわ ) れ、これが 黒褐色 ( こっかっしょく ) 角斑 ( かくはん ) に変わり、古くなると ( あな ) ができます。

枝、葉が茎に 着生 ( ちゃくせい ) する部分からの発生が多く、花に発生すると花弁が 黒褐色 ( こっかっしょく ) になって収穫ができなくなりますよ。

葉と茎に発生する 細菌性 ( さいきんせい ) 病気 ( びょうき ) で、雨が多くなる 梅雨 ( つゆ ) にたくさん発生します。

葉や茎に 暗緑色 ( あんりょくしょく ) をした 水浸状 ( すいしんじょう ) 斑点 ( はんてん ) 条斑 ( じょうはん ) ができ、しだいに 黒褐色 ( こっかっしょく ) となって 拡大 ( かくだい ) して ( くさ ) ります。

また、茎の 先端 ( せんたん ) の芽が黒褐色に腐って、茎の ( ずい ) のところが黒褐色の 空洞 ( くうどう ) に腐って株が ( ) れます。

アブラムシが 媒介 ( ばいかい ) して発生します。

葉の 緑色 ( みどりいろ ) 濃淡 ( のうたん ) になり、葉、茎、 花柄 ( かへい ) が曲がります。

被害 ( ひがい ) 防止 ( ぼうし ) には 寒冷 ( かんれい ) ( しゃ ) を張ってアブラムシが飛んでくるのをふせぎましょう。

高温期 ( こうおんき ) にタネをまくと発生が多くなります。

  

(おわり)

  

この資料は,渡部俊三氏,小野惠二氏,農山漁村文化協会の許可を得て掲載しています。
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